今回紹介するのは、西きょうじ先生の英文解釈参考書です。「ポレポレ英文読解プロセス50」という参考書ですが聞いたことはあるでしょうか?
おそらく、大半の受験生が参考書の名前くらいは耳にしたことがあると思います。「ポレポレ」というキャッチーな名前が付いていることもあってか、親しみやすいのでしょうか。
ポレポレは可愛らしい名前が付いていますが、実は意外と難易度の高い参考書なのです。後々詳しく説明していきますが、東大や京大、一橋などの最難関国立、早慶といったかなり上級者向けの参考書になっています。
では早速、その基本情報や評価、使い方を見ていきましょう。
1.基本情報
- 単行本: 129ページ
- 出版社: 代々木ライブラリー (1993/09)
- 言語: 日本語
- ISBN-10: 4896803388
- ISBN-13: 978-4896803389
- 発売日: 1993/09
- 商品パッケージの寸法: 20.6 x 14.8 x 1 cm
ジャンル:英文解釈参考書
難易度:旧帝大〜最難関大
到達目標:難関大の長文問題で合格点が取れる。
必要期間:1か月〜1か月半
用途:正確に英文の意味を取れられるようになる。
対象者:旧帝大以上の大学受験者
問題数:50題
見開き1ページで1題という構成になっており、英文→解説というスタイルになっています。文構造の解説はもちろん行っていますが、それだけでなく英文を読んでいく過程で文構造を把握するプロセスまで解説していると言えるでしょう。
また、難易度に応じて分類されており、ライオンのようなマークの有無によって難易度を識別できます。ライオンマークがあるものは難しい、無いものは比較的簡単という解釈をしておきましょう。
旧帝大やMARCHレベルが志望校の受験生は全て解答する必要はなく、マークの付いていないものにまずは取り組んで、余裕があるようならライオンマークのものに挑戦しましょう。
可愛らしい名前とは対照的に、非常に難易度の高い参考書になっています。最難関大や早慶を受験する人であれば必読の英文解釈参考書です。もちろん、最難関大志望者は全ての問題に取り組むことが必須です。
2.ポレポレの評価
2-1. 使用上のメリット
・難関大特有の問題をリストアップしている。
収録されている50の問題の多くが、難関大特有のやや特殊な文型の問題を取り上げています。倒置や比較、強調などの受験生が見落としがちな分野にまで目を向けた問題が難関大では出題されます。
難関大の問題では、小説や説明記事のようなものが出題されることはもちろんのこと、加えて難易度の高い論文のような文章も出題されます。つまり、その分複雑な文構造を取ることもしばしばあります。
・必要な問題を取捨選択できる。
先ほども少し書きましたが、難しい問題の横にはライオンマークが付いています。
ライオンマークあり→難しい
ライオンマークなし→比較的簡単
というように、すぐに難易度を把握することができます。MARCHや旧帝大志望の学生であればライオンマークなしで十分に対策できるので、まずはマークなしの問題に取り組みましょう。
最難関大受験者は50題全てに取り組むことを目標にしましょう。時間がないようであれば、ライオンマークが付いている問題のみに取り組むのでも構いません。
2-2. 使用上のデメリット
・姉妹本のレベルとのギャップがすごい。
今回紹介しているポレポレは『英文読解入門基本はここだ!』の姉妹本です。おそらく、こちらはあまり浸透していないと思われます。
ポレポレが最難関大志望者向けであるのに対して、「基本はここだ!」は高1レベルの参考書です。これだけ両者のギャップが大きいので、上のレベルであるポレポレにばかり目がいってしまいますよね。
「基本はここだ!」も良書なので、もし使いたいのであれば、ポレポレとの間に何か学習してから望むことがいいでしょう。間に挟むべき参考書は4章で紹介するので、ぜひ参考にしてください。
3.ポレポレの使い方
①例題の全訳をする。
英文読解の基本は、和訳ができるかどうかです。つまり、和訳が完璧にできるのであれば英文読解ができているということになります。
まずは全訳に取り組み、その後に意味が取りにくいと感じた例文に関してはSVOCを当てはめながら精読して意味を考えていきましょう。
②解説を熟読する。
自分の解答と解説を見比べてみましょう。おそらく、全く一言一句同じ和訳をすることはできません。一文字でも違えば、自分の捉え方と参考書の捉え方は異なるということになります。少し極端な例ですが、以下の英文を考えてください。
ex) The accident was caused by the red car.
訳1:その事故はその赤い車によって引き起こされた。
訳2:その赤い車がその事故を引き起こした。
訳1と訳2では大意は一緒ですが、捉え方が全く違いますよね。訳1では動作主体が「事故」であるのに対して、訳2では「赤い車」になっています。
もちろん、受動態の文法事項を理解しているのであれば訳1が正解だとわかると思いますが、上のように大意は同じでも全く違った捉え方をしてしまうこともあります。
自分と参考書の解答の違いに対して敏感になりましょう。
③音読を10回する。
文自体があまり長くはないので、たくさん音読できるでしょう。音読することで、正確に文意を捉えようとする「精読」の能力だけではなく、文章を素早く読む「速読」の能力を育成することができます。
この参考書では疎かになりがちな速読の対策を行うためにも音読は必須でしょう。可能であるならば、10回以上行ってください。何度やっても構いません。
④復習をする。
解説に書いてあるように、どのようにして読解していくべきかというプロセスを見直していきましょう。
問題を解いて解説を読むだけでは、一般的な長文問題集と全く変わりません。この参考書には英文読解に必要なエッセンスがしっかり詰まっているので、全てを吸収してください。
4.ポレポレの前に使うべき参考書
2章で説明したように、ポレポレの前に学習しておくと効率的に学習していける参考書をいくつか紹介します。
基礎英文解釈の技術100
この問題集は、例文に用いられている英文の質が高いです。早慶や旧帝大などの質の高い例文がピックアップされているので、ポレポレの前に読んでおくことをおすすめしています。
ただし、比較的難易度が高いので、英語が得意な受験生が使うことを前提としています。
入門英文解釈の技術70
この参考書は、先ほど紹介したものよりもレベルが低く設定されています。つまり、英語があまり得意ではない受験生におすすめの参考書になっています。
まとめると、以下のようになります。
英語が得意→基礎英文解釈の技術100
英語が不得意→入門英文解釈の技術70
これで、ポレポレの評価と使い方の解説を終了します。