受験生が苦手とする分野の中で特に苦手な人が多いのが「倒置」です。
今回は、そんな「倒置」について徹底的に解説していきます。
「倒置」は慣れるのが肝心ですので、1つ1つの項目を例文と共に自分の中で噛み砕いて、確実に理解するようにしてください。
① そもそも倒置とは?
まず、「倒置」という文法事項について解説していきますね。
英語の平叙文(疑問文ではない、いわゆる通常の文)の語順を考えてみてください。
「S + V」の語順になっています。
それが、強調などの理由から「V + S」の語順となってしまうことを「倒置」というのです。
倒置は口語ではなく、主に文語(文章で用いられるということ)で用いられる表現です。
では、次の章から「倒置」に関する具体的な解説に入っていきます。
② 強調を示す倒置
まずは、倒置の基本的な表現、強調に関する倒置について見ていきましょう。
A) 否定の副詞(句)を文頭に置く場合「強調の要素+疑問文の語順」
まずは例文を確認してください。
Ex) Never have I seen such a beautiful picture.
訳)こんな美しい絵は今までで一度も見たことがない。
否定の副詞(上の例文中のnever)を強調するために文頭に移動しているパターンです。
この場合、副詞(句)の後の語順は必ず疑問文の語順になるので注意しましょう。
もちろん、通常の語順に書き換えることも可能です。
上の例文を通常の語順に書き換えると以下のようになります。
Ex) I have never seen such a beautiful picture.
訳)省略
文意としてほとんど変わりはありませんが、倒置を用いて書いた方が「一度も~ない」ということが強調されます。
Ex) Rarely have I spent a time so sadly.
訳)こんなに寂しい時を過ごしたことはめったにありません。
この文を言い換えると以下のようになります。
Ex) I have rarely spent a time so sadly.
訳)省略
B) 場所などを示す副詞(句)を文頭に置く場合「強調の要素+V+S」
この場合における場所というのは、方向なども含みます。では、まず例文を見てみましょう。
Ex) Here comes Aki.
訳)アキが来ましたよ。
上の例文では「here」つまり「ここ」という場所を強調していことが分かります。
通常の語順で書くと以下のようになります。
Ex) Aki comes here.
訳)省略
Ex) Away flew the bird.
訳)その鳥が飛び立った。
書き換えると以下のようになります。
Ex) The bird flew away.
訳)省略
※主語が代名詞の場合
主語が代名詞の場合、語順は「S + V」のままになります。
Ex) There he is.
訳)あそこに彼がいます。
通常の文であれば、以下のようになります。
Ex) He is there.
訳)省略
C) 目的語を文頭に置く場合「強調の要素+S + V」
この場合、目的語の後ろの語順は変わりません、通常の文の語順となります。
Ex) Where he is I don’t know.
訳)彼がどこにいるか分かりません。
言い換えると以下のようになります。
Ex) I don’t know where he is.
訳)省略
※目的語に否定語(notなど)や強意語(manyなど)を含んでいる場合には、目的語の後ろは疑問文の語順になります。
Ex) No gift did she give his son for his birthday.
訳)息子の誕生日に彼女は何もあげなかった。
D) 補語を文頭に置く場合「強調の要素+V + S」
補語が文頭に移動した場合には、「V + S」の語順になります。
Ex) Sad was I that heard the news.
訳)そのニュースを聞いた私は悲しかった。
③ 倒置の慣用表現
○ So V + S/ Neither(Nor) V + S:Sも~だ/Sも~ではない
この慣用表現は、前文の内容に対する返答の際に用いる表現です。
相手に何か言われた際に同意したり、もしくは反対したりする際に用いる表現です。
「so/neither/nor」の後ろは必ず疑問文の語順になります。
肯定文に対する返答の際は「so」、否定文に対する返答の際は「neither/nor」になります。
・so V + S:Sも~だ
Ex) I don’t like studying English. – So do I.
訳)私は英語を勉強するのが好きではない。 私もです。
ある文に対して返答する場合だけでなく、文の中で用いられるパターンもあります。
Ex) I belong to the ESS club, and so is Taichi.
訳)私はそのESS部に入っている。そしてタイチも入っている。
このように、一文の中で用いる場合は「so」の前に「and」を置きます。そして、その前にカンマを置くのが一般的です。
Ex) Tom is good at playing soccer, and so is Mike.
訳)トムはサッカーが得意だ。マイクも得意だ。
・neither(nor) V + S:Sも~ではない
「neither」でも「nor」でも、どちらでも用いることができます。
Ex) I have never smoked before. – Neither do I.
訳)私はこれまで一度もタバコを吸ったことがありません。私もです。
この表現も、1文で用いることがあります。
Ex) I hear you won’t join the party, neither will I.
訳)君がそのパーティーに参加しないと聞いているが僕も参加しない。
この場合、「so」のように前に「and」を置く必要はありません。「neither/nor」の前にカンマを置くだけでOKです。
Ex) Jack has not gone abroad, nor do I.
訳)ジャックは海外に行ったことがないが、僕もない。
※「neither/nor」の言い換え
「neither/nor」は別の語で言い換えることが可能です。「not~either」で言い換えることができます。
Ex) I hear you won’t join the party, I won’t, either.
訳)省略
Ex) I have never smoked before, I haven’t, either.
訳)省略
「not~either」を用いて言い換える場合は、ベースとなる文の後ろにカンマを置き、さらに「either」の前にカンマを置かなければなりません。
まとめてみると、以下のようになります。
・肯定文→so V + S:Sも~だ
・否定文→neither(nor) V + S:Sも~ではない
例文を見る限り、複雑に思ったかもしれませんが、非常に簡単にまとめることができます。
倒置においては、この「so」と「neither/nor」を用いた表現が非常に重要ですので必ず覚えてください。