英文法

和訳を意識する「限定用法・継続用法」

関係詞は、それ自身の直前に「カンマ」が付くか否かによって働きが異なります。
 
「カンマ」が付くかどうかの小さな違いではありますが、この違いが文に微妙なニュアンスの違いを与えます。
 
① 限定用法と継続用法とは?
② 関係代名詞の限定・継続用法
③ 関係副詞の限定・継続用法
 

① 限定用法と継続用法とは?

 
冒頭にも書いた通り、関係詞の直前にカンマが付くかどうかによりニュアンスの違いを生みます。
 
カンマが付かないものを「限定用法(制限用法)」、カンマが付くものを「継続用法(非制限用法)」と言います。
 
では、この2つの用法がどういったニュアンスの違いを生んでいるのでしょうか?
 
端的に述べるとすれば、こうなります。
 
・限定用法(制限用法):先行詞の意味を直接的に限定する。
 
・継続用法(非制限用法):先行詞について補足的に説明を加える。
 
実は、このようなニュアンスの違いがあります。
 
では、次の章からは実際に関係代名詞と関係副詞について具体的に見ていきたいと思います。
 

② 関係代名詞の限定・継続用法

 
今回は、関係代名詞の直前にカンマがある文とない文を比べて和訳のニュアンスの違いを捉えてもらいたいと思います。
 
・限定用法(制限用法):関係代名詞の直前にカンマがない
 
Ex) This is the book which was very expensive.
 
訳)これは非常に高かった本です。
 
・継続用法(非制限用法):関係代名詞の直前にカンマがある
 
Ex) This is the book, which was very expensive.
 
訳)これは本です。この本は非常に高かったです。
 
上の2つの例文の訳を見比べてみましょう。
 
限定用法の文では、関係代名詞節が直接的に先行詞を修飾していますね。
 
継続用法の文では、関係代名詞節が主節とは分けて和訳されています。
 
つまり、追加的に関係代名詞節が働いています。
 
ニュアンスの違いは掴めましたか?
 
次は、日本語の例文から英文を作ってみましょう。
 
「これは非常に書きやすいペンです。」
 
この文は、限定用法と継続用法のどちらが当てはまるでしょうか?
 
正解は、このようになります。
 
Ex) This is the pen which is useful to write with.
 
限定用法が用いられていますね。
 
日本語の例文では、「ペン」の説明が直接的に「ペン」にかかっています。
 
「これはペンです。このペンは非常に書きやすいです。」
 
この日本語を英訳するのであれば以下のようになります。
 
Ex) This is the pen, which is useful to write with.
 
このように継続用法を用いて「ペン」に対する説明を追加的に表します。
 

※ 継続用法に使える関係代名詞とは?

 
継続用法に使える関係代名詞は「who/which」だけです。
 
「that/what」は継続用法で用いることができないので注意しましょう。
 

※ 継続用法における目的格の省略

 
限定用法では、関係代名詞が目的格で使われる際に省略されることが多いです。
 
しかし、継続用法では省略することができません
 
継続用法で、目的格として関係代名詞を使う際には省略せずに使いましょう。
 

※ 継続用法が用いられる場面

 
継続用法は主に文語(書き言葉)で使われる表現です。
 
小説などで多用される表現ですので、日常会話で使われることはほとんどありません。
 
口語(話し言葉)では「接続詞+代名詞」で表すことが一般的です。
 
 
 

③関係副詞の限定・継続用法

 
関係副詞にも限定用法(制限用法)と継続用法(非制限用法)が存在します。
 
基本的に関係代名詞の限定・継続用法と、ニュアンスの違いは同じです。
 
つまり…
 
・限定用法(制限用法):先行詞の意味を直接的に限定する。
 
・継続用法(非制限用法):先行詞について補足的に説明を加える。
 
という違いが生じます。

 

※ 継続用法の言い換え

 
先ほどの章で、関係代名詞の継続用法は「接続詞+代名詞」で代用できると書きました。
 
関係副詞も同様に別の語句を用いて言い換えることができます。
 
関係副詞の継続用法は「接続詞+副詞」で言い換えることが可能です。
 
関係”代名詞”だから「代名詞」、関係”副詞”だから「副詞」で言い換えることができることができますね。
 
基本的に、関係副詞でも継続用法は文語表現ですので口語で使われることはありません。
 
では、実際に例文を見ながら解説を行っていきます。
 
・限定用法(制限用法):関係副詞の直前にカンマがない
 
Ex) I visited Kyoto where many people come to see the traditional buildings.
 
訳)私は、多くの人々が伝統的な建造物を見に来る京都に行った。
 
継続用法(非制限用法):関係副詞の直前にカンマがある
 
Ex) I visited Kyoto, where many people come to see the traditional buildings.
 
訳)私は京都に行った。京都は、多くの人々が伝統的な建造物を見に来る場所だ。
 
さて、2つの例文の和訳を見比べてみましょう。
 
限定用法の例文では、関係副詞節の内容が直接的に先行詞「京都」にかかっています。
 
継続用法の例文では、関係副詞節の内容が主節とは分けられています。
 
継続用法はこのように追加的、補足的に和訳するのがポイントでした。
 
では、もう1度別の例文で確認しましょう。
 
限定用法(制限用法):関係副詞の直前にカンマがない
 
Ex) My mother started to make breakfast at 6 when I got up.
 
訳)母は私が起きた時間の6時に朝食を作り始めた。
 
継続用法:関係副詞の直前にカンマがある
 
Ex) My mother started to make breakfast at 6, when I got up.
 
訳)母は6時に朝食を作り始めた。私はその時間に起きた。
 
限定用法では、「私が起きた」という関係副詞節の内容が直接的に先行詞にかかっています。
 
継続用法では、主節とは分けて追加的に和訳されているのが分かりますね。
 

※ 継続用法で用いることができない関係副詞

 
関係代名詞と同様に、関係副詞にも継続用法で使えないものが存在します。
 
「why/how」に継続用法はないので注意しましょう。
 
継続用法で使えるのは「where/when」の2つだけです。
 
まとめると…
 
「who/which/where/when」の4種類の関係詞のみ、継続用法が存在します。
 
 

~確認問題~

 
次の英文を関係詞の限定・継続用法に注意しながら和訳してください。
 
⑴ Ms.Watanabe is the professor of this university who I have wanted to meet.
 
⑵ “Orange Market” is the supermarket, where Mike worked part time 2 years ago.
 
⑶ This is how my brother solved the question.
 
⑷ This movie, which was very popular among young people, was not so good.
 
 
 
 
 

~必要な知識~

 
上の確認問題を解くためには以下の知識が必要になります。
 
今回の解説のまとめにもなるのでしっかり確認しましょう。
 
A) 限定用法は、先行詞に対して直接的に修飾するように和訳する。
 
B) 継続用法は、先行詞に対して追加的に和訳する。2文に分けても良い。
 
C) 継続用法で使える関係詞は「who/which/where/when」の4種類だけ。
 
この3つの項目がしっかりと押さえられていればバッチリです。
 
では、解答に移ります。
 
 
 

~解答~

 
⑴ ワタナベ教授は私が会いたかったこの大学の教授だ。
 
限定用法で「who」が使われているので、直接「professor」を修飾しているように和訳します。
 
⑵ オレンジマーケットはスーパーマーケットです。マイクは2年前にそこでアルバイトをしていました。
 
継続用法の英文です。2文に分けて主節を和訳した後に関係詞節を和訳すれば大丈夫ですね。
 
⑶ このようにして私の兄/弟はその問題を解いた。
 
「how」は限定用法でしか使うことができないので限定用法として和訳しましょう。
 
⑷ この映画は、若者の間で人気があったが、そんなに良くなかった。
 
少し変わった形の継続用法です。
 
挿入句のように継続用法が用いられることもありますが、文の最初から節ごとに和訳すれば問題はありません。
 
以上で、関係詞の限定用法・継続用法の解説を終わります。
 
 
 
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