代名詞とは“名詞の代わりをする品詞”です。
英語では、同じ語を何度も重複して用いることが嫌われます。
そのため、代名詞が用いられるわけです。
今回は、人称代名詞・指示代名詞・不定代名詞の3種類について詳しく見ていこうと思います。
1.人称代名詞
人称代名詞は、4つの指標で分けられます。
それは「人称・格・性・数」です。それぞれ軽く説明します。
○人称
簡単に言えば、その代名詞が示すのが話してなのか、聞き手なのか、もしくは第三者なのかということです。
1人称→話し手(私)、話し手を含む複数(私たち)。
2人称→聞き手(あなた)、聞き手を含む複数(あなたたち)。
3人称→第三者(彼/彼女)、第三者たち(彼ら/彼女ら)、物事(それ/それら)。
○格
主格→文の主語になる。「~は、~が」。
所有格→名詞の前に付く。「~の」。
目的格→動詞、もしくは前置詞の後ろに付く。「~に、~を」。
○性
その名詞が男性なのか、女性なのか、もしくは物や動物(中性)なのか。
○数
その名詞が単数なのか、複数なのか。
以上の4指針に基づいて表をまとめると以下のようになります。
人称/格/性/数 | a | 単数形 | 複数形 | ||||
主格 | 所有格 | 目的格 | 主格 | 所有格 | 目的格 | ||
1人称 | I | My | Me | We | Our | Us | |
2人称 | You | Your | You | You | Your | You | |
3人称 | 男性 | He | His | Him | they | their | Them |
女性 | She | Her | Her | ||||
中性 | it | its | it |
※「一般の人々」はどのようにして表すの?
「一般の人々(特定なし)」を表す場合、人称代名詞の複数形we、you、theyを用いることがあります。
ここで、どのような場合にどの代名詞が用いられるか整理します。
・we→話し手を含む一般の人々。
・you→聞き手を含む一般の人々。
・they→話し手、聞き手を含まない一般の人々。
Ex) They speak Spanish in Peru.
訳)ペルーではスペイン語が話されている。
Ex) You should be kind to your friends.
訳)友人には優しくするべきである。
Ex) In Niigata we have a lot of snow in winter.
訳)新潟では冬に雪がたくさん降る。
ここで、和訳に関して1つ注意点があります。
“we / you / they は特に訳さない”
ということです。
代名詞を訳してしまうと不自然な日本語訳になってしまうので、基本的には訳さずに済ませることが多いです。
○所有代名詞
所有代名詞とは、「~のもの」という意味を表すものです。
単数形 | 複数形 | |
1人称 | Mine(私のもの) | Ours(私たちのもの) |
2人称 | Yours(あなたのもの) | Yours(あなたたちのもの) |
3人称 | His/hers(彼/彼女のもの) | Theirs(彼らのもの) |
上の項で人称代名詞について説明したので、それを用いて説明します。
Ex) my book=mine、your pen=yours
このように、1語で表すことができるのが所有代名詞です。
所有代名詞=所有格+名詞です。
では、実際に例文を見ながら確認しましょう。
Ex) I broke my pen. Can I borrow yours?
訳)ペンを壊してしまった。あなたのペンをお借りしてもいいですか?
ここでは、yours=your penです。
Ex) Whose pen is this? – It’s mine.
訳)このペンは誰のですか? 私のです。
この場合は、mine=my penです。
○再帰代名詞
再帰代名詞は「~自身」という意味を表します。
単数形 | 複数形 | |
1人称 | Myself | Ourselves |
2人称 | Yourself | Yourselves |
3人称 | Himself/herself/itself | Themselves |
再帰代名詞には、2つのパターンの用法があります。
・動詞、前置詞の目的語になる用法。
・名詞、代名詞を強調する用法。
Ex) I want to introduce myself.
訳)自己紹介したいと思います。
これは、前者の目的語としての用法です。
「~を紹介する」という動詞の目的語が、私自身であるということになります。
Ex) The girl herself won the game.
訳)彼女がその試合に勝利した。
これは強調用法です。
その試合に勝利したのが彼女であるということを強調するためにherselfをherの後ろに置いています。
ここで注目してほしいのが、herselfがなくてもこの文は成り立つということです。
あくまでも強調のためだけに、この再帰代名詞が用いられているため、文から省略しても文意は通じます。
※再帰代名詞を用いた重要表現
・by+再帰代名詞→ひとりで、~の力で。
Ex) I finished my homework by myself.
訳)私は自分1人の力で宿題を終わらせた。
・for+再帰代名詞→~のために、~の力で。
Ex) I always spend money for myself.
訳)私はいつも自分のためにお金を使う。
2.指示代名詞
指示代名詞は人やモノを示すほか、前文に出てきた語や句、節の代用となるものです。
This、that、these、thoseが主な指示代名詞です。
・人やモノを表す場合→「これ、あれ、これら、あれら」。
・前文の語や句、節を表す場合。
・名詞の重複を割ける場合。
以上のパターンがあります。
Ex) This is my pen.
訳)これは私のペンです。
この場合、this=penですね。つまり、ペンのことを「これ」と指示しているわけです。
Ex) Takeshi caught a cold yesterday. This is why he doesn’t come to school.
訳)タケシは昨日風邪を引いてしまった。だから、彼は学校に来ていないのです。
この文章で、thisは何を示しているのでしょうか。
前文の内容を示しているのです。
タケシが風邪を引いたということが、彼が学校に来ていない理由になっているわけです。
前文の内容すべてを再度話してしまっては、非常に文が長くなってしまうために、thisという一語で置き換えているわけです。
Ex) The population of Japan is larger than that of France.
訳)日本の人口はフランスの人口よりも多い。
この場合、thatはthe population(人口)を示しています。
※「人口が多い/少ない」を英語で言うには?
先ほどさりげなく例文で登場しましたが、人口の大小を表す場合には「large/small」で表します。
人口の大小は「多い/少ない」という日本語で表しますから、「many/few」で表すと思う人が多いと思います。
しかし、これは大きな間違いです。日本語では「多い/少ない」と訳しますが、
“人口の大小=都市の規模の大小”
という考え方になります。
都市の規模として人口を捉えることにより、
“多い/少ない=large/small”
と表現することができます。
※soの代名詞的用法
Soは本来副詞ですが、代名詞的に用いられることもあります。
Ex) She will not come to school. – I think so.
訳)彼女は学校に来ないでしょう。私もそう思います。
このように、前文の内容を受けてthat節の代わりにsoが用いられることがあります。
ですが、ここで注意しなければならないことがあります。それは、
“肯定文ならso、否定文ならnot”
ということです。否定的な内容で答える際にはsoではなく、notで返します。
Ex) I heard that she is angry with you. –I hope not.
訳)彼女があなたに怒っていると聴きました。そうじゃないといいのですが。
しかし、「I don’t think~」の形を取る動詞の場合は、soが用いられます。
3.不定代名詞
○one
・前述の名詞の代わりとなる。ただし、可算名詞のみ。
Ex) I forgot to bring my umbrella. I want to buy one.
訳)傘を持って来忘れてしまった。1本買いたい。
※oneとitの違い
一見同じように思えてしまう2つの語ですが、この2つには大きな違いがあります。
“one=不特定、it=特定”
今回は、例文のumbrellaを例に用いたいと思います。
例文では、umbrellaがoneで置き換えられています。
これは、傘であれば何でもいいということです。赤色の傘でも透明な傘でも、長い傘でも短い傘でも、傘であれば何でもいいのです。
不特定の傘を示したいわけですのでoneが用いられますね。
itが仮に用いられてしまうとどうなるのでしょうか。itが用いられてしまうと、it=my umbrellaになってしまいます。
全く同じ傘をもう一度買うというのはおかしい話ですね。だからoneが使われているのです。
○another
・もう1つの
Ex) I’d like to drink another cup of coffee.
訳)もう一杯コーヒーを飲みたいです。
○other
・他のもの/他
○others
・他の人たち/他のもの
Ex) I want eat others.
訳)他のものを食べたいです。
○some
・いくつか/いくらか
Ex) I want to eat some bread.
訳)パンが食べたい。
この場合、someは特に訳す必要はありません。
○any
・(否定文で)何も/少しも。
・(疑問文で)何か/少しでも。
Ex) Is there any questions?
訳)何か質問はありませんか?